日本の森、モリのニッポン紀行

2020年12月6日からnote版「日本の森、モリのニッポン紀行」(https://note.com/samsil_life)に引っ越しました。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【美濃國】賀茂郡・太部神社。

一ノ鳥居から少し離れた朱色の二ノ鳥居をくぐり小さな太鼓橋を渡る。一見して古そうな正面の拝殿。入り口と左右の窓に格子戸がはめられ、軒の内側を見上げると千社札。参拝後、本殿の方へ歩いて行くと、社殿を囲う玉垣の内側に拝殿を支えるための鉄骨を認め…

【美濃國】賀茂郡・大山神社。

田んぼの脇に立つ標柱を目印に南へと走った。集落の端、針葉樹の森のなかに境内は広がる。先ほどまで訪ねていた神社が山の中腹や麓に鎮座していたのと対象的に、山は近いが平地にある。鳥居から55歩の拝殿に手を合わせ後方へ向かう。石垣上にはこぢんまりと…

【美濃國】賀茂郡・坂祝神社。

麓の鳥居をくぐると杖が数本立てかけられていた。目前の山の頂上まで杖を突いて歩けという暗示か。幸い予感は外れた。拝殿を回り込み本殿までは急な石段を上りはしたが、神社が鎮座するのは山の中腹。祭神は正勝山祇神。正勝=真実、山祇=山神という意味で…

【美濃國】賀茂郡・縣主神社。

長良川鉄道沿いの境内。小高い丘へと上がる参道には鳥類の襲撃注意との看板。トンビやフクロウというのが豊かな森ならでは。暑い一日、拝殿に参ると降り注ぐ日光を避け日陰に退散。社名の県主とは古代における地方組織の長、当地を治めたのは祭神の彦坐王命…

【美濃國】各務郡・御井神社。

本殿参拝後、神主さんに旧社地である三井山への行き方を教えてもらう。現社地からFATBIKEで十分ほどの距離。標高は110m。途中、古墳があり石室が顔をのぞかせる。しばらく登ると奥之宮が鎮座し南側の尾張を望む。すぐ後ろの空自飛行場では戦闘機の発着があり…

【美濃國】各務郡・加佐美神社。

長い参道を歩いて境内に出ると正面に現れた横長の拝殿。貞享四年再興の本殿や幣殿とともに国の文化財である。参拝前に清めた手水の周りを蜂が飛んでいた。清らかに澄む水。偶然か、後方に小町酒造の看板。参拝後、蔵に寄り長良川の伏流水で醸したその名も「…

【美濃國】各務郡・村國眞墨田神社。

寺院の堂宇を思わせる拝殿と神木のアラカシを写真に撮っていると、氏子さんから近くの金縄塚古墳を教えてもらった。古墳は木曽川の氾濫にも被害が出ない高台に存在。金山彦命も祭神ゆえに南宮とも呼ばれる。南宮は美濃、真清田は尾張の一宮。両国に関係する…

【美濃國】各務郡・飛鳥田神社。

飛鳥といえば大和、大和といえば朝廷というつながりから巨大な古社を連想。標柱が建つ駐車場より近所の女性に道を教えてもらって整備された石段を上がる。鳥居の奥に鎮座する小堂。山頂からの眺めが飛鳥地方に似ているのが社名の由来とか。繁茂する木々に確…

【美濃國】各務郡・村國神社二座。

拝殿後方の石段を上がった先に奥の院が鎮座。祭神は当地を治め壬申の乱で功のあった村国男依命とその祖神、天火明命。社に手を合わせ後ろを振り返ると、こちらを伺うように鳥居が立つ。小山を仰ぎ見る信仰があるといわんばかりに。本殿裏手や周辺には古墳が…

【美濃國】各務郡・伊波乃西神社。

境内左手の通路を山の中腹に向かう。玉垣のなかに鎮座する岩。祭神にして開拓の祖神である日子坐命の陵墓である。磐座をまつる神社は何度も目にしたけど、趣が異なる。宮内庁の札が立つせいか何となく仰々しい。普段ひとが訪れない場所らしく、蚊の大群を刺…

【美濃國】方縣郡・若江神社。

標柱が立つ民家の傍らで片目が白く濁った子猫が写真を撮る僕を見つめていた。両脇に家が建ち並ぶ参道を進むと岐阜市の保存樹であるシイが濃緑の枝葉を広げる境内へ出た。本殿に手を合わせてから裏手に回るも林から蚊を引き連れてきたようだ。十月というのに…

【美濃國】方縣郡・方縣津神社。

山頂に鎮座する小柄な神明造の本殿。賽銭箱の横に須恵器のような壺が。出土品? 小山こと桝塚は歴とした古墳だ。長良川北岸を走って各務原から岐阜市に入ったその日。訪ねた神社には古墳を伴うか近くに古墳があるなど、古墳と関係深い古社ばかり。古墳縁の濃…

【美濃國】方縣郡・方縣津神社。

方縣津神社の論社である津神社と縣神社の両社は偶然にも古墳と見られる塚上に鎮座する。まずは津神社。鳥居をくぐり常夜灯が並ぶ参道を直進、突き当たりの拝殿に手を合わす。裏手の本殿は石垣の上に建つが石垣自体が盛り土の上にある。円墳といわれればそう…

【美濃國】大野郡・來振神社。

名鉄谷汲線の廃線に沿って走る。旧更地駅の手前東側の白い空間一帯が境内。等間隔に常夜灯が立ち並ぶ白い参道を歩き石段を上がる。背景の社叢とは対照的なコンクリートの社殿が緑に浮かぶ。旧社地は来振寺後方の白山山頂に鎮座していた。石灰採掘のため現社…

【美濃國】大野郡・花長下神社。

中名礼の集落を抜け田んぼの端を通る一本道の右手、丘陵地の先端に社叢が直立する。花長神社同様出雲と関係深く、祭神の赤衾伊奴意保須美比古佐和気命は出雲国伊奴神社に同じ。この境内に生息するヒメハルゼミの分布は揖斐川町によると当地と島根県のみとい…

【美濃國】大野郡・花長神社。

大垣駅から乗った樽見鉄道、終点の樽見で降りたのは僕ひとりだった。白山神社が鎮座する能郷まで一時間余り。越前に続く国境の道である。鉄骨の雪除けに納められた本殿に向かって伸びる石段は、急な斜度でしかも滑りやすい。参拝を済ませると厚い雲から太陽…

【美濃國】大野郡・花長神社。

尾張国の阿豆良神社を訪ねると由緒に祭神の天甕津媛命と花長神社との関係が記されていた。言葉を話さない品津別皇子のために我をまつれといった濃尾に出雲を加えた交流譚。針葉樹が林立する参道を抜けると、寒空に響く鳥のさえずりが竹藪の揺れる音とともに…

【美濃國】安八郡・荒方神社。

一夜城公園に鎮座する白髭神社。各地で古社巡礼の旅をしているが社を城の間近に見るのは珍しい。祭神は猿田彦命。長良川から犀川が分かれる岐にあり舟運の無事を祈願した。荒方神社との関係は? 古来この辺りが荒地だったとも、城のある城ノ越をもとは荒方と…

【美濃國】安八郡・荒方神社。

墨俣宿の北に位置する八幡社は荒方神社とされる神社のひとつ。鳥居をくぐり太鼓橋正面の拝殿は唐破風がせり出た立派な造り。本殿には南北の壁に龍と馬が合体した珍しい動物が彫られている。ベンチに座りメモをとる。境内を見渡し荒方神社との関係を考えるも…

【美濃國】安八郡・墨俣神社。

墨俣神社は社名に地名を冠している。延喜式に掲載されているほどだから、墨俣という土地自体は古くから開けていたのだろう。濃尾の境に近く交通の要衝であることは神社創建時も墨俣一夜城築城時も変わらない。長良川西岸の一角、古社というよりも街場の産土…

【美濃國】安八郡・加毛神社。

名古屋から自走で出発。木曽川を渡り尾張から美濃へ。美濃には賀茂郡があるもカモ系神社は安八郡の当社のみ。境内は決して広いとはいえないが、木製鳥居奥の立派な拝殿の造りに目を見張る。二週間前に讃岐国坂出の鴨神社を訪ねたばかり。カモ族の広範囲な分…

【美濃國】安八郡・宇波刀神社。

長良川の堤防道路下、鳥居から一直線に伸びるコンクリートの参道を本殿へ向かうと石段上に神明造の簡素な社がまつられている。標柱には「元伊勢宮」の文字。倭姫命が天照大神を奉戴して近江から美濃に渡った。そして尾張へ向う途中に立ち寄った社であると由…

【美濃國】安八郡・宇波刀神社。

下校する小学生たちの視線を浴びながら社叢と思しき緑の塊を目指した。しかし緑のなかに入るも鳥居はなく善学院の文字。お寺のようだ。お寺のなかに神社はあるまい。外周を走ると敷地の角に神社を見つけた。境内は竹藪に覆われ薄暗い。石垣の上には小さな社…

【美濃國】不破郡・伊富岐神社。

霊峰伊吹山の名を冠した神社は近江と美濃両国に鎮座。近江側は境内から伊吹山を拝し周辺にはイブキ姓が多い。美濃側の当社は山こそ望めないが大杉を従えた唐破風造の重厚な建物は、背後の森と相まって古社感に溢れる。一ノ鳥居はJR線の向こう側。そこまでが…

【美濃國】不破郡・大領神社。

南宮大社を東にペダルを漕ぐ。針葉樹に覆われた境内は全体が薄暗く寂しい。鳥居をくぐり春日造の本殿に参拝。祭神の宮勝木實命は壬申の乱時、大海人皇子を助けた功で大領に。姓の勝(スグリ)は古代朝鮮で族長を指す村主に由来か。周辺には古墳が多く当社も…

【美濃國】多藝郡・久久美雄彦神社。

高田の街場を抜けると左右を山塊に挟まれた谷間に平野が広がる。神社は養老山脈北端の山中に鎮座。沢田の集落から山に入る坂道を進むと鳥居が立ち、石段を上がると境内に出た。鬱蒼とした木々に囲まれ古社の雰囲気は十分だ。久々美雄彦神は伊吹の山神と同神…

【美濃國】多藝郡・大神神社。

養老・鈴鹿両山脈に挟まれた谷筋を南へ。牧田川を渡り高台に上がると伊勢街道沿いの境内には太い幹のスギが天を突く。車の音は届かず耳には手水を流れる水の音のみ。古代、西濃に広がった三輪族の一派がここに拠点を構えたか。立ち寄ったコンビニの店員さん…

【美濃國】多藝郡・多伎神社。

氏子さんにもらった略記には江戸時代当時の大墳村という村名が記されている。大墳とは古墳を指しており、その古墳とは本殿真裏にある円墳のこと。位置的にも祭神と被葬者とは関係が深そう。いまでは境内にひっそり佇む古墳も、平野に一際目立つ存在だった時…