日本の森、モリのニッポン紀行

2020年12月6日からnote版「日本の森、モリのニッポン紀行」(https://note.com/samsil_life)に引っ越しました。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

【飛驒國】荒城郡・阿多由太神社。

朱色の橋から境内を眺める。整然と並ぶ長身のスギは鳥居を隠すほど。気温は三十度だが木立のおかげで涼しく感じられる。本殿は国指定、随神坐像は県指定の文化財。一方、僕が気になったのは拝殿左手奥の祖霊の杜。五輪塔や自然石が置かれ四方を注連縄が囲み…

【飛驒國】荒城郡・高田神社。

境内に入るとご神木のスギが目を引く。根本数メートル上で五つに分かれた幹に高魂命始め五柱の祭神の御魂が宿る。周辺には縄文時代の集落や祭祀遺跡があり、神社を中心として環状に二十一基の古墳が囲むというのも興味深い。遺跡を見ずに神原峠へと向かった…

【飛驒國】荒城郡・荒城神社。

郡名を社名とするからにはそれなりの理由があるはず。本殿裏側付近からは縄文土器や住居跡の一部が出土している。縄文の古から暮らしの延長線上に神への祭祀が営まれていたようだから古さが想像できる。縄文の息吹の一方で参道端のトマト栽培のビニールハウ…

【飛驒國】荒城郡・大津神社。

神岡町は飛騨市といえど古川からはひと山越える。一時間ほどだらだらと坂を上がり神岡トンネルを越えると一気に下り坂。町が近づいたころ道路端に神社に通ずる裏口を発見。八の字型の拝殿を参り境内端の桜の並木の間に立った。目の前には素粒子物理学に変遷…

【飛驒國】大野郡・荏名神社。

澄んだ小川を石造の神橋を渡り境内へ。覆いに囲われた雪国仕様の本殿に参拝する。国学者、田中大秀の「荏名文庫蔵」は火災と鼠害から守るため境内の池のなかに建てられた。江名子川の涼しげな流れとツクツクボウシの鳴き声。昔日、晩夏には同じような音を耳…

【飛驒國】大野郡・槻本神社。

「槻」を広辞苑で調べるとケヤキの古名とあるが、スギも指すとは初めて知った。山の麓の境内では中心にそびえる大杉が一番の存在感。説明には樹齢千二百年、創建当時からの神木と書かれている。木の陰が数里にも及んだというのは大げさでも、生きた竜のよう…

【飛驒國】大野郡・水無神社。

高山本線飛騨一ノ宮駅に降り立つ。八月中旬なのに涼しく名古屋とは別天地の感。神社入口の鳥居をくぐると右側に推定樹齢八百余年の大杉がそびえ、思わず見上げた。例祭時には神社が醸した濁酒の振る舞いがあるそう。飛騨の酒に濁酒が多いのは一宮での振る舞…

【参河國】渥美郡・阿志神社。

県内とはいえ渥美半島は遠く尾張からは僻地の感が強い。祭神は渡来系の阿智使主。彼らはここに何を求めたかを考えるとき、現代的な偏見が邪魔をする。隠岐には対岸の出雲より名神大社が多いようにいまの視点で僻地と語るのは危険だ。古代には寧ろ先進地域だ…

【参河國】八名郡・石巻神社(上の宮)。

近所の方が下の宮に来られたので挨拶。石巻山は遠足で行ったよ、と昔話。登山道もあるが車用の舗装路を上がった。二十分ほどで山頂の神社に到着。山上の社には清い水や緑、神の降臨譚を想像する。しかし神社近くのガラスが割られ焼け跡のある廃屋に荒んだ空…

【参河國】八名郡・石巻神社(下の宮)。

八名郡の所属社は石巻神社一社だけど、石巻山の上の宮と麓の下の宮と二カ所あるので、実質二社である。里宮の境内は拝殿や本殿が建ち並ぶ場所と木々が生い茂る森とがはっきり分かれる。朝七時台はひとの姿がなくとても静かで清々しい。朝日が木々の間から顔…

【参河國】寶飫郡・石座神社。

八月初旬の暑い盛り。豊川から新城への一時間ほどのサイクリングで汗だくの身。木々の枝が覆う薄暗い参道は夏から秋へと季節を進めるトンネルだ。ツクツクボウシやヒグラシの鳴き声が社叢に響く。磐座がある雁峯山頂から遷座。神域内の片隅にもミニチュアの…

【参河國】寶飫郡・赤日子神社。

神社巡りで社叢の木々を見るのが好きだ。こんもり感に欠けるのは直立する針葉樹たちにクスノキが負けているからか。海のイメージが強い蒲郡。神社は山側に鎮座。一ノ鳥居をくぐって参道を歩く。周囲に住宅がなかった昔、境内から海が眺められたかもしれない…

【参河國】寶飫郡・砥鹿神社(奥宮)。

登山口の鳥居で一礼、一路山頂へ。途中、馬背石や天の磐座など奇岩の露出を目にする。何丁目か記憶にないが、鳥居をくぐると斜面がキツくなりほどなく山頂に到着、奥宮に参拝。三河平野を見下ろし頬張るおにぎりのうまさよ。秋が訪れていた山頂で聞くヒグラ…

【参河國】寶飫郡・砥鹿神社(里宮)。

奥宮への登拝を終えた後に訪れる予定だったが、国道沿いに里宮の標柱と鳥居を見つけたので無視するわけにいかず最初に立ち寄ることに。午前七時半、自分のほかに一組の親子がいるだけ、一宮にふさわしく広々とした境内は静寂に包まれていた。本宮山登拝の無…

【参河國】寶飫郡・菟足神社。

八の字型の屋根を持った拝殿で手を合わせる。拝殿内のハリボテ、賽銭箱の神紋など社名にちなんでウサギが散見される。遺跡に言及した由緒。神社の近くにある貝塚が神社の古さを物語る。縄文晩期の土器なども出土したそうだ。新緑の木々の木陰にたたずむと吹…

【参河國】寶飫郡・御津神社。

御津を「みと」と読むことを知ったのは学生時代。同地出身の友人がいたから。彼によれば初詣は親類たちと船に乗って伊勢神宮に出向いていたという。この神社の神さまは彼とは逆で伊勢からやってきたそうだ。昔から伊勢御津間をつなぐ海の道があったというこ…

【参河國】寶飫郡・形原神社。

大鳥居をくぐるも境内は見えてこない。しばらく歩くと二ノ鳥居が現れた。森のなかへ石段が導く。山の中腹を切り開いたような広い境内。社人の方に挨拶して参拝。白山社の扁額を掲げた隣の社に入った瞬間、おびただしい視線にさらされた。壁一面に飾られた出…

【参河國】播豆郡・羽豆神社。

尾張国知多郡の羽豆神社とは兄弟か? 社名だけでなく建稲種命を祭神とし海を望む場所に鎮座することが共通点。逆に違う点を挙げれば神社から近い場所に古墳があること。重文の本殿を参拝後、北側に走ると海を望む好立地に築かれた正法寺古墳がある。西三河最…

【参河國】播豆郡・久麻久神社二座。

西尾市役所北側、鳥居をくぐりなだらかな坂道を上っていくと小高い丘の麓に境内がある。八ッ面山にある同社が奥宮ならこちらは里宮か。縄文以来ひとが住んだ場所。進んだ農耕文化を持った人々の移住があったと由緒にある。祭神はその人々がまつっていた祖神…

【参河國】播豆郡・久麻久神社二座。

八ッ面山中腹、シイノキの濃緑の葉が密に重なり境内の木陰を充実させている。丹後半島出身の久麻久連が移住開拓したというが、久麻久=高麗来で渡来人ではという説もある。八ッ面山では良質な雲母(きらら)が採掘されたことから当地が吉良と呼ばれるように…

【参河國】碧海郡・糟目神社。

一ノ鳥居から境内へは松並み木が続く。もうひとつの糟目神社は社名に犬頭の名が入る。それにしても珍しい名前だ。犬の頭が主人を大蛇から守ったという伝説もあるが、もとは養蚕の神で犬頭糸という天下一と賞賛された糸の名であった。糟目神社は矢作川の洪水…

【参河國】碧海郡・糟目神社。

参拝後に鳥狩塚古墳を訪ねた。農作業をしていたおじさんに声をかけ畑の脇を上って行くも墳丘部はまるで雑木林然。古墳は神社の土地で、さらに向かい側を流れる用水近くに旧社地があることが何をかいわんとしている。周辺には古墳や遺跡が多い。昔から開けた…

【参河國】碧海郡・比蘇神社。

式内社には広大な社地を持つ大社がある一方、ここも式内社? と小さな境内に驚かされることがある。比蘇神社は比蘇の浜に塩田の神をまつった創始を持つと由緒に書かれた歴とした古社。でも境内は猫の額ほどだ。遊具類が置かれているので余計に狭さが際立つか…