日本の森、モリのニッポン紀行

2020年12月6日からnote版「日本の森、モリのニッポン紀行」(https://note.com/samsil_life)に引っ越しました。

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

【遠江國】周智郡・芽原川内神社。

豊橋から飯田線に揺られて三時間。到着した向市場駅で降りたのは僕ひとりだった。「お気をつけて」電車が止まると親切な車掌さんがドアの開閉ボタンを押して見送ってくれた。駅に着くと今度は駅の向かい側の家のおじさんが出てきた。「山住(神社)に行くん…

【出雲國】嶋根郡・美保神社。

雲ひとつない真っ青な空の下には日本海の大海原が広がっていた。遮るものがない目の前の風景。島根半島の先端に位置する美保関灯台から日本海を眺めていたら、通路にカンバスを立て絵筆を握った絵描きのおじさんに声をかけられ少し立ち話をした。「自転車で…

【出雲國】嶋根郡・生馬神社。

東生馬の生馬神社を出て西生馬に向かう。西ノ谷という小字の通り両側に丘をのぞむ谷筋の道を北上した。周囲に神社らしい場所は見当たらない。「まっすぐや、すぐ分かる。ごくろうさん」用水を掃除していたおじさんに声をかけて場所を教えてもらった。用水沿…

【出雲國】嶋根郡・生馬神社。

小高い山が屏風のように並ぶその前には板チョコを敷きつめたように田んぼが広がっていた。初夏を思わせるその日、トラクターが田んぼの土をかき混ぜていた。その様子を遠目に見ながら、田んぼと田んぼの間の道をFATBIKEで走っていく。通勤通学の時間帯にもか…

【出雲國】嶋根郡・法吉神社。

法吉神社を訪ねたのは五月九日の朝のこと。 松江駅近くの逗留先のマンションを出て大橋川を渡って北上。松江城のお堀を渡って北側の塩見縄手を走る。武家屋敷が軒を連ねる松江では鉄板の観光名所である。小泉八雲が松江滞在時に住んだ旧居前で記念に写真を撮…

【出雲國】嶋根郡・爾佐能加志能為神社。

爾佐神社が鎮座する千酌からFATBIKEに乗り海岸沿いの道を西へ向かった。海沿いの道を走るのは嶋根郡や出雲郡といった日本海沿いの地域を含む郡を回る際の楽しみである。僕の故郷、名古屋の自宅も海はそれほど遠くない。だけど島根の海とは、これが海か、とい…

【出雲國】嶋根郡・爾佐神社。

嶋根郡の神社を回った当日の朝は雨が降っていた。松江に来て初めての雨。しかしその雨は長引くことはなく、朝のうち少し地面を濡らした程度だった。通勤通学時間を過ぎると上がったので、休みを返上して急きょ出かけることにしたのは多気神社の項で話した通…

【出雲國】嶋根郡・加賀神社。

松江の風光明媚な観光スポットである「加賀の潜戸」潜戸鼻と呼ばれる岬の先端近くの海上に旧潜戸と新潜戸という洞窟状の穴が空いている。「出雲国風土記」にも記されていることから古代出雲の人々にも神秘的な感動を与えたことだろう。嶋根郡の条には加賀の…

【出雲國】嶋根郡・横田神社。

式内横田神社とされる森山の横田神社。境内は境水道沿いにそびえる横田山の東の麓にある。ここからは対岸にある境港の街並みが手に届くように近い。境水道に沿った国道から海側の集落に入るとブロック塀の向こう側に鳥居を見つけた。鳥居をくぐり石州瓦で葺…

【出雲國】嶋根郡・門江神社。

出雲国の式内社訪問記をほぼ毎日書いているが、さすがにひと月を神社巡りに明け暮れていたのでネタに尽きることはない。ところで書く順番について、これまでの国(伊勢国とか尾張国とかの国)であれば自分が訪ねた順に書いていたけど、出雲国に関しては訪問…

【出雲國】嶋根郡・長見神社。

松江駅近くの逗留先を出発して一時間ほどすると道の駅が見えてきた。信号以外ほぼノンストップで走って来たから、トイレとコーヒーブレイクを兼ねて休憩することにした。併設のコンビニでコーヒーとパンを買って道路を渡り海が見えるベンチに向かった。朝日…

【出雲國】嶋根郡・河上神社。

河上神社の社殿の位置は「川上」なのかどうか分からないけど、境内のすぐ前を川が流れていることからして、社名と現社地がとてもしっくりくる神社である。境内にいても車が通行するような音はなく、聞こえてくるのは圧倒的に川の流れ、それと草刈機の音くら…

【出雲國】嶋根郡・久良彌神社、同社坐波夜都武自神社。

『「北門の良波の国を、国の余り有りやと見れば、国の余り有り」と詔りたまひて、童女の胸鉏所取らして、大魚のきだ衝き別けて、はたすすき穂振りて、三身の綱打ち挂けて、霜黒葛くるやくるやに、河船のもそろもそろに、国来々々と引き来縫へる国は、宇波の…

【出雲國】嶋根郡・多気神社。

多気神社を訪れた日の朝は雨が降っていた。前日の天気予報では「明日は雨」と予想されていたので、当然、雨が降るものと思っていた。ただ万が一降らなかった場合は出かけようと思っていたので、いつでも出発できる準備だけはしておいた。いつものように午前…

【出雲國】嶋根郡・布自伎美神社。

出雲國の式内社の大部分は山上など山に関係する場所に鎮座する...これは僕が実際に各神社を回った感想である。出雲地方にはお隣、伯耆国にそびえる大山級の標高の高い山はないけど、島根県全体の地図を見る限り平野部よりも山地・丘陵地が圧倒的に多い。だか…

【出雲國】意宇郡・久米神社。

伊邪那美命が眠るといわれる比婆山山頂。安来駅から一時間をかけて走ってきて、久米神社の奥宮が山の山頂と知って「まじか」と少々落胆した。実際の標高は320mと高くないが登山には変わりない。どうしても次の訪問先があるわが「FATBIKE古社巡礼!」一日の予…

【出雲國】意宇郡・田面神社。

お昼に近づくにつれ降り注ぐ日差しが一段と強くなった。FATBIKEに乗って走っていると日光をもろに浴びる。本当は曇りくらいがよいのだけど、晴れているからこそのサイクリングである。松江での暮らしを始めてからというもの、雨の日は通算四日ほどだった。生…

【出雲國】意宇郡・勝日高守神社。

グーグルマップに印をしておいた勝日高守神社。富田城址がある月山の麓を道なりにやって来た。スマホの画面を見ると神社の場所は限りなく近いはずなのに、目の前の風景には神社らしき場所は見当たらない。式内社なんだから看板くらい出しておいてもらえると…

【出雲國】意宇郡・勝日神社。

勝日神社が鎮座する富田八幡宮にやって来た。とても広い境内、と月並みな言葉しか思い浮かばない。社名が刻まれた標柱が立ち道路に面した一の鳥居から、石段を上がり、長い長い参道を歩いて随神門をくぐる。その先にある桧皮葺の建物に息を飲んだ。いただい…