日本の森、モリのニッポン紀行

2020年12月6日からnote版「日本の森、モリのニッポン紀行」(https://note.com/samsil_life)に引っ越しました。

【出雲國】嶋根郡・長見神社。

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松江駅近くの逗留先を出発して一時間ほどすると道の駅が見えてきた。
信号以外ほぼノンストップで走って来たから、トイレとコーヒーブレイクを兼ねて休憩することにした。

併設のコンビニでコーヒーとパンを買って道路を渡り海が見えるベンチに向かった。
朝日が中海の海面に降り注ぎ、キラキラと反射している。
弓浜半島が美保関に向かって伸びているのもよく分かる。
当日の目的地は島根半島東端の美保関。
ここから目にする限りかなりの距離なので、海を眺めながら気合いを入れた。

再びサドルにまたがり坂を下ること十分ほどで長見神社が鎮座する長海地区に到着。
境内から少し離れた場所に立つ鳥居近くにFATBIKEを止めた。

鳥居の手前に立てられた案内板によると当地は武蔵坊弁慶生誕の地といわれる。
弁慶が病床の母弁吉から語られた母の生い立ち、自らの出生から幼少期・青年期までのことを書いた「弁慶願文」が社宝として奉納されているという。

立ち寄った道の駅から神社までの間には弁慶島という小島があったし、少し離れるが安来の出雲路幸神社(佐為神社論社)にも弁慶の腰掛け石があった。
弁慶の生誕については紀州とする説もあるようだが、出雲の地を走っていると何かにつけて「弁慶ゆかりの~」というものを目にする機会が多く、僕のなかでは「弁慶=出雲人」というイメージが膨らんでいった。

入口に立つ鳥居から石段を上がり、屋根に葺かれた石州瓦が朝日にテカテカと反射する拝殿まで93歩。
また石段を上がりきったところには境内で一番背が高いスギの木が出迎えてくれた。
まずは参拝。
由緒の掲示はないが、先ほどの案内には天津彦火火瓊瓊杵命と木花咲耶姫が祭神と記されていた。

奥に回ると大社造の本殿と摂社が鎮座し、さらに数歩先には木の幹に藁が巻かれ、地面には幣串と小さな鳥居が立てられていた。
荒神さんの木のようだが、巻かれた藁蛇はすでに蛇の形状を失っていた。

境内を回り拝殿の階段に腰掛けるとここからも中海が眺められた。
弁慶も故郷の風景として思い出すことがあったかもしれない。

中海に浮かぶ大根島と江島、それと鳥取県弓浜半島は1968年の干拓事業で陸続きになったと「島根県の歴史散歩」に書かれている。
そういえば出勤の時間帯ということもあってか、反対車線には鳥取ナンバーの車が多く見られるようになった。

写真は島根県松江市

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