日本の森、モリのニッポン紀行

2020年12月6日からnote版「日本の森、モリのニッポン紀行」(https://note.com/samsil_life)に引っ越しました。

【出雲國】嶋根郡・多気神社。

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多気神社を訪れた日の朝は雨が降っていた。

前日の天気予報では「明日は雨」と予想されていたので、当然、雨が降るものと思っていた。
ただ万が一降らなかった場合は出かけようと思っていたので、いつでも出発できる準備だけはしておいた。

いつものように午前四時半にベッドから出てコーヒーを淹れ、朝食の準備の前に近所のコンビニに山陰中央新報を買いに行った。
そのときはまだ雨は降っていなかった。
コンビニから逗留先へ戻る道すがら新聞の天気欄に目をやると雨マークが並んでいた。
朝食を終えて出発しようかどうかを悩んでいると、予想通り雨が降ってきた。
記念すべきかどうか分からないが、松江で暮らし始めて最初の雨である。

これで古社巡礼はなくなった、それじゃ今日はどう過ごそうか。
名古屋で休みの日にしてたようにスタバに行って本でも読もうと思った。
松江駅のシャミネには島根県一号店が七時から営業している。

逗留先からシャミネまでは小走りだと五分の距離。
雨といっても傘がいらないくらいの微弱な降りである。
早速コーヒーを注文。
席からはバスターミナルに並ぶ出勤、通学のひとたちの姿が眺められた。
自分もほんの少し前まではここに並ぶひとたちと変わらない生活していた。
コーヒーをすすりながら外を眺める自分は仕事をしていない。
それどころか名古屋から遠く離れた松江の地にやってきている。
目の前には松江の朝の日常が広がる。

そんなことを考えて過ごしていると、雨が上がったようだ。
念のためスマホで気象情報をチェックすると夕方ころに大雨が降る可能性はあるが、今後数時間は雨の心配はいらないという。

それならいまから行こう。
マグカップを返却台の上に返すとすぐさま逗留先に戻った。
雨が降っていなければ午前六時台の出発だったが二時間以上遅れての出発。

松江駅を北上し山中の道を抜けて中海に出た。
そこからは海岸線を走っていく。
日射しがない曇り空だけど、湿度が高く蒸し蒸しする。

一時間後、多気神社に到着した。
ちなみに曇り空のままだが雨は降っていない。
入り口にFATBIKEをとめた。
小さな境内だが本殿を囲む木々はどれも胴回りが太く立派なものだ。
鳥居をくぐり拝殿まで20歩、まずは参拝。
境内を歩くと、本殿を中心として左右二本の木にそれぞれ藁蛇が巻かれていた。
ふたつの組の荒神さんだろうか。
樹皮だけを見ると藁蛇がまきついた木はタブノキのようだけど、葉っぱの形が違う。
いまいち分からない樹皮に木の種類を覚えることの難しさを実感した。

境内の由緒によれば、当社がある地域にはもともと竹宮神社と津森神社という二社が存在していた。
竹宮神社は多気神社と称していたが、音が同じことから天文年中には竹宮と称するようになった。
女嵩の山麓にあった竹宮神社は参拝に不便なため、神社合祀令により明治三十九年、中海に近い津森神社と合併し竹宮神社と改めた。
その後、大正五年多気神社として旧に復したという。

一方、「式内社調査報告」には、多気神社の多気が嵩に通じることから、嵩山の布自伎美神社に合祀されている多気神社も当社とする説があるという。
境内の由緒には祭神として武甕槌命経津主神という春日二神が記されているが、布自伎美神社に合祀された多気神社の祭神は大己貴命とされる。

写真は島根県松江市

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